歯を失う原因で最も多い『歯周病』とは
歯周病の原因
歯周病は「沈黙の病」と呼ばれる程見逃し易い病気です。痛み等の自覚症状がなく、歯磨きで出血したりしても、つい受診を先延ばしにしているうちに手の施しようが無くなってしまうのです。その為、ご自分の歯肉の中がどういう状態なのか、治療が必要なのかどうかを知るには、歯周病の検査できちんと調べる必要があるのです。症状の進行の程度によって「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。
歯周病の悪化につながる生活習慣
- 不規則な生活
- 睡眠不足/疲労
- ストレス
- 食生活
- 喫煙 など
歯周病の進行と症状
歯肉炎 …
歯周病の初期症状。歯肉の腫れだけで済んでいます。歯磨きと歯石取りで炎症を止めればすっかり元の健康な状態に戻ります。
歯周炎 …
歯を支える歯周組織がすでに破壊され始めている状態をいいます。歯磨きと歯石取りで炎症を治し病気の進行を止めますが、残念ながら失われた歯周組織は元どおりにはなりません。ただし、早期に気づいて炎症を止め、再発を防いで維持すれば、歯をしっかりと守っていくことが出来ます。
こんな症状にご注意ください
- 歯ぐきに違和感がある(むずがゆい など)
- 歯ぐきが赤い/腫れぼったい
- 歯ぐきから出血がみられる
- 食べ物が噛みにくい
- 歯がグラグラ揺れる
歯周病と口臭の関係
口臭の原因のおよそ90%はお口の中に潜んでいますが、その中でも特に関連性が高いとされているのが歯周病です。
歯周病の原因菌の多くは、「卵が腐ったニオイ」「生ゴミのニオイ」と表現されるほど強い臭気を持つ揮発性ガスを発生させます。そのニオイは歯周病が進行するほど強くなり、歯周病の治療をはじめないかぎりその口臭は改善されません。
ご自身またはご家族の口臭が気になる方は、ぜひ一度、歯周病のチェック・治療を受けてみることをおすすめいたします。
歯周病とメンテナンス
「治療が終わった」と油断していると、歯周ポケットの中にまた歯石が付き、治療がイチからやり直しになってしまいます。何度も通ってしっかりと治療を終えホッとしたら、今度は治療のためでは無く、歯周ポケットの中まできれいに出来るプロのクリーニングを受ける為に、定期的に医院においでください。
治療の終わりは再発予防の始まりです。歯科医院との新たなお付き合いをスタートさせましょう。
歯周病の検査
レントゲン検査
お口全体のレントゲンを撮影し、歯や歯槽骨(あごの骨)の状態をみながら現在の歯周病の進行具合を確認していきます。
歯周ポケット検査
歯周病が進行するにつれ、歯と歯ぐきの間には『歯周ポケット』と呼ばれる深い溝が形成されます。この歯周ポケットの深さを測定することで、個々の歯における歯周病の進行具合が把握できます。
動揺度検査
歯周病によって歯を支える歯槽骨の破壊が進むと、歯が少しずつ揺れはじめます。この揺れの度合いも、歯周病の進行度をみる目安の1つになります。
当診療所の歯周病治療
歯周基本治療
歯周病の治療は、はじめにお口の中に生息する歯周病菌を可能な限り取り除いていくところからはじまります。
クリーニング・スケーリング(目に見えるプラーク・歯石の除去)
専用の機器を使用しながら、歯の表面に付着したプラーク(細菌の塊)や歯石を徹底的に取り除いていきます。
スケーリング・ルートプレーニング(目に見えないプラーク・歯石の除去)
歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット内)に付着したプラーク・歯石を取り除いていきます。非常に細かい作業となるため、歯周病の進行具合によって処置に1~6回ほどの回数がかかります。
歯周外科治療
基本治療が終わったら再検査をおこない、歯周病がどの程度改善されたか診査します。基本治療で改善されなかった部位に対しては、次の歯周外科治療をおこなう場合があります。
フラップ手術
歯ぐきの一部を切開し、基本治療では取れない深いポケット内のプラークや歯石、感染物質などを丁寧に取り除いていきます。
根尖側移動術(APF)
歯周病の基本治療で歯肉の炎症が落ち着いた後に、歯周病の再発を予防することを目的とした処置で、深くなってしまった歯周ポケットを浅くするため処置です。
歯周内科治療
抗生物質を使用して歯周病を改善する内科的治療です。特定された細菌に有効な薬剤を用いながら、お口の中の歯周病菌を減らしていきます。
ただし薬だけで歯周病は完治できないため、あくまで補助的な治療となります。したがって薬剤による除菌後は、通常の歯周基本治療をおこなっていきます。